昨年5月に種牡馬引退を表明したストームキャット(26歳)がクオーターホース(※)の生産に寄与することになった。受胎率の低下で現役を退いたストームキャットの“復帰”を可能にしたのは、人工授精がクオーターホースの生産で認められているため。人工受精では牛と同様に試験管1本あたりの金額が種付料となるが、治療時に採取された精液を元にしたストームキャットの精子は破格の2万ドル(約180万円)が予定されており、同馬を供用するオーヴァーブルックファームでは10~20頭のクオーターホース牝馬に供給したいとしている。クオーターホースの生産にサラブレッド種牡馬が利用されるのは珍しいことではなく、過去にはアリダーを父に持つクオーターホースが誕生しており、サンデーサイレンスUSA産駒の日本産馬エイシンマサムネ(コロラド州アラパホパークで供用)も現役のクオーターホースの父となっている。
(※)短距離のダッシュ力に優れ、競走や乗馬などに使われる。レースは主にクオーターマイル(約400メートル)で行われ、アメリカでは独立した団体(アメリカン・クオーターホース協会)が運営。一部の競馬場ではサラブレッドのレースとクオーターホースのレースが一緒に行われており、最高で総賞金200万ドルを越えるレースも用意されている。父、母のどちらかにサラブレッドを持つ場合は能力と外貌の審査を経て、クオーターホースとして登録される。