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豪でも馬インフルエンザ流行―5

2007年09月21日 09時33分

9月19日現在、オーストラリアは馬インフルエンザによる一時の大混乱から脱し、落ち着きを取り戻しつつある。しかし、依然としてウイルスは流行中。それに伴う警戒態勢も解かれておらず、予断を許さない状況だ。
感染馬が確認されているのは東南部のニューサウスウェールズ州と北東部のクイーンズランド州。特に前者のニューサウスウェールズ州での被害は深刻で、状況改善に懸命の取り組みが続けられている。
17日、ニューサウスウェールズ州政府のイアン・マクドナルド第一次産業相は、約1万本のワクチンを輸入することを発表した。ただし、全ての馬に投与されるわけではなく、感染地域周辺の馬のみを対象としている。
もちろん、今後ワクチン投与を推し進めてほしいと多くの生産者は要望している。それについては現在検討課題となっている段階。投与対象の拡大を含め、近日中に結論を出したいとしている。
馬産地ハンターヴァレーでの流行はやはり広がりを見せた。18日には超名門のアローフィールドスタッドでも感染が確認、繁殖牝馬の間で広がりを見せている。
同スタッドは05/06シーズンのリーディングサイアー・リダウツチョイスら豪最高クラスの種牡馬も繋養しているが、その間にはまだ感染は広がっていない。ただし、状況からしてそれも時間の問題だろうと考えられている。
オーストラリアは現在種付けシーズンだが、シャトル種牡馬は引き続き検疫所を出られない状態。関係者の予測では、来月まではこの状態が続きそうとのことだ。
さらに、南東部ヴィクトリア州の生産協会のM.ベッカー氏は「たとえ検疫所を出られたとしても、州境は超えられないだろう」と、現地メディアに語っている。ニューサウスウェールズ州のみならず、豪州全体の馬産に多大な影響が出るのは必至の情勢となってきた。
オーストラリア生産者協会は、種付けのために繁殖牝馬が立ち入れる「パープル・ゾーン」(紫地帯→緑=安全、赤=危険の中間)と呼ばれる緩衝地帯を設ける方向でニューサウスウェールズ州政府と合意、事態打開に動いている。パープル・ゾーンの出入りに関してどのような防疫体制が敷かれるかなど、詳細については数日中に発表になる見込み。
また、米メディアが報じるところによると、クールモア所有のシャトル種牡馬ヨハネスブルク Johannesburg、テールオブザキャット Tale of the Cat、ライオンハート Lion Heart の3頭が米国へ帰国の途に着いたとのこと。
この3頭は他の馬より早く到着したため、馬インフルエンザ騒動に巻き込まれずにハンターヴァレーの種付け場に到着していた。しかし、いかんせん繁殖牝馬を含む馬の移動が制限されて思うように種付けもできない状況で、改善の見込みもないと判断。クールモアが政府から移動の特別許可をもらったと報じられている。
また、フサイチペガサス Fusaichi Pegasus、デヒアUSA、ロイヤルアカデミーUSAのシャトルサイアー3頭も、同様に早め到着で馬インフルエンザ禍を逃れたグループだが、この3頭は豪州に残す方針とのことだ。

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